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日本商業新聞

【日本商業新聞 1面】「美容のプロ」がいるお店へ 2022/4/25

 これまで多くの業界関係者が「専門店専用ブランドを取扱うから専門店ではない。美容のプロが常駐しているから専門店である」と語ってきたが、ここにきて、その言葉の重みが更に増している。新たに「オルビス」を導入する専門店が増えており、多くの店で順調な動きを見せていると聞くが、その背景には、もともと商品やブランドが持つ価値に「専門店ならではの活動」の価値が加わり、より高い満足感を提供していることが挙げられる。改めて「専門店ならではの活動」が持つ大切さと可能性を感じる。


■活動で付加価値提供


 化粧品業界では、化粧品を「制度品」と「一般品」とで分けて考えることが多い。

「制度品」とは化粧品メーカーと契約した小売店が販売出来る化粧品で、その小売店とは化粧品専門店のことである。一方、「一般品」とは、卸を通じて多くの小売店が展開する化粧品で、主にドラッグストアやバラエティショップ等で販売されている。


 「制度品」が持つ魅力は、高い機能性は勿論、使用感触や香り等、細部にこだわった質の高さと専門店のスタッフや美容部員によるカウンセリング、施術、そして提案が加わることで具現化する満足感の高さ。国内の制度品メーカーでは、「制度品」ブランドの愛用者を増やすため専門店と組み、肌体感を通じて化粧品の魅力を感じてもらうために様々な集客施策をこれまで講じてきた。しかし、この数年、消費者の化粧品に対する意識や考え方が変化、専門店としての価値や方向性に対する考え方も変わりつつあるようだ。


■流通に対する意識が希薄化?


 先日、某専門店が店舗改装したというので訪店したが、その際、経営者と話の中で今後の専門店の方向性について考えさせられることがあった。そのお店では改装に合わせて若い世代のお客様獲得を目的に「オルビス」を新たに導入した。特に告知活動をしていないのにも関わらず、それでもオルビス目的の来店客が増えていると説明する。

 経営者はそれら来店客の購買行動を観察していて「今のお客様は『欲しい』『使いたい』と思えば、流通チャネルに関係無く来店される。チャネルに対する意識はそれほど持っていないかもしれない」と感じたそうだ。


 記者自身も「制度品」「一般品」と分けて、「制度品」を軸に専門店の今後を考えてきた。しかし、経営者と話をしていく中で、「制度品」であろうと「一般品」であろうとも、質の高い化粧品を質の高い接客やカウンセリング施術を加えて提供することが、化粧品を展開する様々な流通がある中で専門店が選ばれるために大事な要素であることを改めて認識したのである。


 例えバラエティショップでも販売する一般品でも、そこに専門店ならではの活動という付加価値を加えることで、他の流通以上に高い満足感を提供出来る。それが質の高い「制度品」ならば、得られる満足感はより高くその結果、専門店やメーカーのファンを増やすことに繋がる。

 その経営者が分析する通り、流通チャネルを意識しない消費者が増えることは、見方を変えれば専門店にとって新たな新規客獲得のチャンスともいえるのではないか。

 

■「美容のプロ」がいるお店へ


 これまで多くの業界関係者が語ってきた「専門店専用ブランドを取扱うから専門店ではない。美容のプロが常駐するお店だから専門店」、まさにその言葉通りの状況で、それは今まで以上に「専門店ならではの活動」が重要になってくるともいえる。そして業界関係者だけでなく消費者にも「化粧品専門店とは美容のプロがいるお店」と認識してもらうことが化粧品業界で存在感を発揮していくことに繋がるのではないかと思う。


 今後、改装を予定するお店が幾つもあり、そこでは店の見え方やブランド揃え等、コロナ後を見据えた店づくりが行われていくだろう。そこではハードだけでなくソフト、つまり活動へのこだわりがもっと問われることになる。消費者から「専門店専用ブランドを取扱うから専門店ではない。美容のプロが常駐しているお店だから専門店」と認識されることが、これからの専門店の目指すべき方向性であるように思える。

(半沢)

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