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日本商業新聞

【2024/4/8 日本商業新聞】いかにタイムラグを縮めるか/機能性&スピード感/成功事例は「韓国コスメ」

国内化粧品メーカーでは、商品開発にて商品の新規性や品質、信頼性で高い価値を実現。国内外の生活者から評価を獲得してきた。ここ数年、生活者の化粧意識が多様化したことで市場トレンドは常に変化している状態。そのためにスピーディーな商品開発も大切になっている。そして今後更に人口減によるターゲットの減少と化粧意識の変化に伴うアイテムの多様化が進む中、競争環境は更に厳しくなる。その時に求められるのは、優れた機能性と市場トレンドとのタイムラグの無い商品開発ではないだろうか。(半沢)



■機能性&スピード感


先日、一般化粧品メーカーの商品開発担当者とコロナ前後の生活者における化粧品への意識と、それに伴う商品開発の変化について情報交換をしていた時のこと。「商品開発で品質や信頼性(安全性)が第一なのは変わらないが、この数年特にスピード感のある商品開発が求められている」と担当者は説明した。


これまで多くの国内化粧品メーカーでは、中長期の成長と社会貢献を重視して、商品開発の分野でも積極的に投資を行い商品の新規性や品質、信頼性で高い価値を実現させることで、国内は勿論、海外の生活者から高い評価を獲得してきた。


ただ、品質や機能性、信頼性に対するニーズは変わらないが、一方ではこの数年、生活者の

化粧意識が多様化したことを理由に、市場トレンドは常に変化している状況でそのためにスピーディーな商品開発がより一層重要になってきている。



■成功事例は「韓国コスメ」


それを最も感じるのが「韓国コスメ」である。日本で韓国コスメが人気を集め始めたのは2000年代始めのこと。最初は「エチュードハウス」や「ミシャ」が駅ビルやショッピングモールに直営店を出店。購入しやすい価格でありながら機能性だけでなく、容器やパッケージのデザインでも人気を獲得した。そして、様々な韓国メーカーが市場に参入するようになると、これまであまり見られなかったデザインや商品特長を武器に支持を獲得。今も、数年ごとにブームが起きる等、韓国コスメは若い世代を中心に幅広い世代からの注目を集め続けている。


韓国の化粧品業界を知る関係者の話では、海外市場での競争力の強化を目的に、国がR&D戦略を重視したサポートを行う他、韓国のOEM/ODMの企業力も高く、それが韓国コスメが成長した大きな要因の一つと話す。更に企業内の意思決定のスピードも早く、市場トレンドとのタイムラグが無い状態で商品化できることも大きな強みになっているそうだ。


そして、昨年頃から韓国コスメだけではなく、中国やタイ、台湾等のコスメブランドも売り場を拡げており、市場環境は厳しさを増している。


日本国内の化粧品メーカーも商品開発のスピードを高めるための取り組みに力を注ぐ。例えば組織体制は、部門ごとに段階を踏みながら開発を進めるリレー方式から、部門間で連携を図り、同時進行で商品開発を進める方式にシフトする企業が増えている。従来のリレー方式に比べて商品開発に必要な時間を短縮していくことで、市場のトレンドと合った商品展開を可能にしている。



■いかにタイムラグを縮めるか

今後の化粧品業界での商品開発におけるポイントは、人口減少による国内ターゲットの減少と化粧行為に対する意識変化に伴うアイテムの多様化への対応である。当然、競争環境は更に厳しくなると思われるが、その中で存在感を強めていくためには、化粧品としての機能性や安全性は勿論だが、それに加えて市場トレンドとのタイムラグの無い商品開発と商品施策も重要になってくる。


また、生活者のニーズや市場トレンドをきちんと把握して対応していくことに加え、表面化していない潜在的なニーズを顕在化していくことも欠かせない。そして、もう一つは企業自らがトレンドを創造していくことで新たな美容の概念や利便性を提案することも忘れてはならない。


先日、資生堂が発表した「ファンデ美容液」もまさにそれで、「ファンデ美容液」という新たなベースメイクカテゴリーを提案した。こうした取り組みの一つひとつがブランドや企業の差別化となり、市場での存在感を生み出していく。

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