23年度は〝攻めの年〟として、大手化粧品制度品メーカーの施策や展開が注目されているが、実は化粧品専門店を主体に展開する「カウンセリングブランド」がここにきて勢いを増しており、専門店における存在価値を着実に高めている。更に昨今、新たに専門店流通へと参入するメーカーも増えている他、専門店においても新たな業態店舗がオープンするなど、専門店流通にとって23年度は大きなうねりが生まれる1年になるのではないかとみている。(中濱)
■変革続く「専門店流通」 新規参入メーカー増
敏感肌や肌トラブルを強みに展開する「シェルクルール化粧品」では、コロナ禍においてもブレることのない姿勢で〝お肌を診る活動〟を重点的に取り組み、更によりスキルの質を上げるために、リアルとオンラインの〝ハイブリッド型セミナー〟を取り入れるなど着々と力をつけてきた。
その結果、23年度をスタートして以降絶好調な動きをみせており、第1四半期を終了した時点で前年比120%と高い伸長を維持したまま推移を続けている。
なかでも同社の中心アイテムであるクレンジング「ベーシッククリーム」は、昨年の倍近い数字で動いているだけでなく、10年の歳月をかけ誕生したノンケミカルを極めた日焼け止めクリーム「フェアヴェールUV」においても、予約段階で初回生産がほぼ完売するなど好調さを押し上げている。
昨年70周年を迎えた「カシー化粧品」では、〝プラセンタといえばカシー〟を裏付ける商品として、ウシ由来プラセンタエキス配合の70周年記念商品「プラスキン リキッド1964」を復刻発売し好評を博した他、ロングセラーアイテム「カシー ボザール マニュアン」では、ムーミンとのコラボ商品を限定で発売したことが功を奏し、沢山の新たな出会いに繋がった。22年度の実績は前年比105・5%で着地し、今年度はベーシックスキンケアに注力することで更なる愛用者拡大に繋げていく。
そして大阪府粧協が昨年、新たに取組を開始した「肌箋集28」は、導入から1カ月で100万円の売上を達成するお店も生まれるなど、パワフルオーガニックという新たな切り口とともに、5掛けという利益率の高さと寄り添った営業提案、経営面までも考慮した支払いサイトがお店から支持され、徐々に取扱い店数も増えてきている状況だ。
「カバーマーク」と「アクセーヌ」を展開する「ピアスグループ」も、お店の声に真摯に対応してくれるメーカーとして取扱い店舗からの支持が高い。
それ以外にも、化粧品だけでなく美容機器やお茶など、化粧品と親和性の高いライフスタイル提案が好評の「Jスタイルビューティー」では、専門店における顧客との新たな出会いを広げるメーカーとして認知度を上げている注目メーカーの1社である。
■勢い増すカウンセリングブランド
現在も大手制度品メーカーを主力に展開する専門店が多いことに変わりはないが、コロナ禍で様々なカウンセリングメーカーが着実に力をつけてきたことは確かであり、実際にお店の主力ブランドとして力を発揮するメーカーも出てきている。またコロナ前に比べ、専門店流通に新たに参入したメーカーも格段に増え、「重要ブランド」という位置づけもお店によって変わってきているなど、専門店のカラーは多色の方向にある。
そして23年度もその方向はより一層進むとみている。例えば、「アンズコーポレーション」では、生まれ持った肌リスクを解析する肌遺伝子検査キット「MY SKIN ID」に基づいた結果をもとに、最適なスキンケアを提案する新たな取り組みを大阪「美スギ」で11月より開始。今後は専門店と顧客とのきっかけ作りや繋がりの醸成を目指していくという。
また大阪「みかさや」では4月25日、心斎橋パルコに「SDGs」をテーマにした全く新しい専門店をオープンする。次号にて詳細をお伝えするが、こちらも専門店に一石を投じる店舗になることは間違いない。このように、専門店流通の変革はまだまだ続いている。しっかりと潮流を読み、自店に何が必要なのかをしっかりと見極めていくことが重要だと感じている。
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