資生堂は、日本事業の収益の早期回復を最重要の経営課題と位置付け、重点プロジェクトとして、藤原憲太郎社長COOが、資生堂ジャパン社長CEOを兼任の上で日本事業の抜本的見直しと構造改革案策定を昨年8月以降主導してきた。その過程において、魚谷雅彦会長CEO及び取締役会と緊密に議論を重ね、新経営改革プラン「ミライシフトNIPPON 2025」を決議。資生堂ジャパンのビジネストランスフォーメーションとその一環としての早期退職支援プランを次の通り実施する。
■〝自己革新〟の人財強化
【「ミライシフトNIPPON 2025」と早期退職支援プランを実施する理由】
〈「ミライシフトNIPPON 2025」について〉
日本の化粧品市場は、この数年間で生活者意識、購買行動の多様化が加速している。この市場環境が変化する中で、当社がより着実な成長をするためには、生活者・お客さま起点の新価値・新市場の創造に、スピードを上げて取り組むことが重要である。同時に、大胆な選択と集中により、優位性があり、強化すべき領域へ投資を集中することで、持続的な成長と収益性向上をともに実現する。
この考え方のもと、資生堂ジャパンにおいて、「持続的な成長」、「稼げる基盤構築」、「人財変革」の3つを柱とする新経営改革プラン「ミライシフトNIPPON 2025」を実行していく。
①「持続的な成長」
「持続的な成長」に向けては、成長性・収益性が高いブランド・商品・接点へ徹底的に活動を集中する。具体的には「ブランド戦略」と「タッチポイント戦略」を強化。
当社の強みである技術・研究開発力を駆使し、圧倒的に愛されるブランド・商品の導入加速と強化、変化する生活者のインサイトを捉えた新しいカテゴリーの創造という2つの柱で「ブランド戦略」を展開する。
「タッチポイント戦略」は、日本で培ってきた「おもてなし」を強みとするリアルなサービスと、中国や米州等で当社が展開してきたデジタルの最新の知見の2つの柱を、お客さまの体験価値として、融合していく。
これにより、リアルとデジタルの両方を、お客さまが自由に選択しながら、ブランドを体験できるようにしていく。特に、デジタルの取り組みにおいては、得意先と連動したリテーラーEコマースや「Omise+(オミセプラス)」の強化、自社Eコマースサイト「ワタシプラス」の刷新に同時に取り組み、国内Eコマース売上比率を現状の10%台前半から30%へ拡大していく。
②「稼げる基盤構築」
「稼げる基盤構築」は、既述の「ブランド戦略」、「タッチポイント戦略」による高収益基盤への転換に加え、原価、マーケティング投資、経費の全てにおいて、全体最適による効率化を進め、2年間で250億円の削減を見込み、実現していく。
③人財変革「ミライキャリアプラン」により、自己革新を続ける人財・組織を早期に確立
「持続的な成長」と「稼げる基盤構築」を同時に実現するために、自己革新(※1)し続ける人財・組織を早期に確立する。自己革新は、資生堂ジャパン社長CEOである藤原の人財に対する強い思いである。この考え方のもと、資生堂ジャパンにおいて社員一人ひとりのキャリアを支援する「ミライキャリアプラン」を2024年に展開する。
本プランは、資生堂の未来の変革のために、共に取り組んでいく社員、または今回の変革を転機に今後のキャリアを社外で選択する社員、いずれのケースにおいても最適・最善を目指したキャリア支援プランである。
具体的には「ミライキャリアプラン」の一環として、変革を共に進める社員へは自己革新に必要な能力獲得とリスキリングへの積極投資を実施し、社外で新たなキャリアを目指す社員へは、早期退職支援プラン(※2)を提供する。
※1「自己革新」能力
・好奇心を持ち、生活者の価値観やトレンドを捉え、新しい価値を創造する力
・得意先さまの方針・課題を理解し、共に成長できる取り組みを自ら創り出す力
・デジタルツールを理解し、成長・収益拡大や生産性向上に活かせる力
・すべてのリソースに対して、リターンを最大化する稼ぐ力
・組織やポジションに関係なく、生活者の視点を重視して行動する力
・一人ひとりが改革の主役で、リスクを恐れず挑戦し、変えることへの共感を引出す力
※2早期退職支援プランの実施
コロナ禍を経て、働き方や自身のライフプランの見直しなど、新しいキャリアを考える機会が増えている。
当社は、日本経済が回復傾向に入ったこのタイミングを捉え、大きな改革を実行する。この改革のタイミングで、自己革新を社員に求めていくことから、新たなチャレンジを目指し、当社で培われた経験やスキルを、社会や社外でのキャリアで活かしたいと考える社員に対して、現行の早期退職制度に、特別加算金と再就職支援サービスを追加した早期退職支援プランを提供する。
〈今後の見通し〉
本プランの実施により発生する特別加算金等の費用は、2024年12月期第2四半期において非計上項目(※)として計上する予定で、2024年2月9日に公表した2024年12月期の連結業績予想に影響見込額の概算を織り込んでいる。
※構造改革に伴う費用・減損損失等、非計上的な要因により発生した損益
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