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日本商業新聞

【2024/6/17 日本商業新聞】「ポーラ」「アテニア」展開拡大 / 導入3カ月で100万超 / 専門店で着実にブランド育成

これまで化粧品専門店流通以外で展開してきたメーカーが、コロナ禍を経て、新たに専門店への展開を始めるといった動きが続いており、中でも「ポーラ」「アテニア」両ブランドでは、専門店で着実に成果に繋げているなど、今後も専門店での取り組みを更に強化していく構えだ。背景には「数多い商品の中ではブランドは埋もれる。一方、専門店では一人ひとりのお客様に寄り添い、商品やブランドの価値を伝えていただけると共に、ひいてはブランド育成につながるといった大きな魅力を持つ」という想いがある。(半沢)



■導入3カ月で100万超


「ポーラ」は、昨年6月に化粧品専門店「LOOK さんすて福山店」に化粧品専門店第1号となるポーラコーナーをオープンし、現在は専門店4店舗を展開。また「アテニア」は、2020年1月に「アットコスメTOKYO」に化粧品専門店第1号店として導入して以降、「パルファン」や「アットコスメストア」等、全国31店舗の専門店で展開を図っている。


「ポーラ」「アテニア」の両ブランドに共通するのは、これまで百貨店や直営店舗、EC等の専門店以外の流通で展開してきたこと。両ブランド共に知名度は高く、特に「ポーラ」は百貨店ブランドとして広く知られているが、今回の専門店との新たな展開に力を注いでいる背景には、どのような考えや意図があるのだろうか。


そこで先日、「ポーラ」「アテニア」の両ブランドを取材し、専門店流通の魅力や取り組み、今後の店舗戦略や方向性等についてインタビューを実施。その内容は、7月下旬発行予定の本紙「夏季特集」で紹介させていただくが、今回は両ブランドが着目する専門店の魅力「新規客との接点拡大」「ブランド育成」の2点について言及していきたい。


まず、「新規客との接点拡大」だが、「ポーラ」は百貨店やサロン型ショップ「ポーラザビューティ(PB)」、オンラインストア等直営展開を中心とした展開を図っており、当然、ここでの化粧品購入者の大半は同社の化粧品を目的としている顧客層が多い。


その上で、新たに専門店で展開を決めた大きなきっかけとなったのが、「ポーラ」の化粧品に触れたことがない生活者との新たな出会いを増やしたいという狙いがある。


実際に、両ブランドとも専門店に導入して以降、獲得した新規客は20代~40代と若い世代を中心に増やしているだけでなく、その新規客は、専門店にとっても全く新しいお客様との出会いに繋がっており、中には発売3カ月で月売上100万円を超えるお店もある。



■専門店で着実にブランド育成


次にブランド育成という点では、「アテニア」は中価格帯を中心としているためにドラッグストアでの展開も考えられるが、同社は「数多い商品の中では埋もれるだけ」という理由から専門店への導入を決定したという。アテニアの担当者は「専門店の魅力は、一人ひとりのお客様に寄り添い、商品やブランド価値を伝えていただけること。これは最終的にブランド育成にも繋がっていく」と説明する。


このように、専門店の強みである「お客様一人ひとりに寄り添う活動」は、デジタル化が進む今だからこそより輝きを増していると言える。


また「ブランド育成」においては、主にECやバラエティショップ等で展開していて実績を上げていても「機会があれば専門流通に挑戦してみたい」と考えるメーカーも増えており、それらの多くが専門店流通を「ブランドの価値やイメージをとても大切にしてくれる」と捉えていると聞く。


「ポーラ」及び「アテニア」においては今後さらに専門店への導入店数を増やす計画であり、どこまで拡がりを見せるかが注目されると共に、両ブランドをはじめ、他流通からの参入が増えている背景には、こうした専門店の活動は、他流通にはない際立った強みとして表れている証ではないかと感じる次第である。

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